谷口菜津子さんの『放っておくだけで、泣くほどおいしい料理ができる』という本を買った。
この作者さんの『人生山あり谷口』というエッセイ漫画がとても好き。
悩みやトラブルを抱えた作者がふと山に登ってみたくなり、なんの予備知識もないままとりあえず登ってみる。リュックも持っていないのでトートバッグだったり、雪山にスニーカーだったりするので大体ひどくしんどい目に合うが読後感はなぜか爽快。
「いろいろ適当で、途中しんどくっても最終的に面白かった~って笑えたらそれでいいんだよな~」
というわたしの性格になんとなく合っているからなのだと思う。
で、冒頭の料理本も合っていた。
『いろいろ適当で、下調べとか準備とか面倒くさいこと抜きでとりかかれて、ちょっと凝った感じの料理を作って達成感と旨味を得たい』わたしにはちょうどよい刺激を与えてくれる内容で、読み終わらないうちに固まり肉を求めてスーパーに走ることになった。
今回作ってみたのはロースハムとパンチェッタ。
まずはロースハムから。
ハムを作るためにまず野菜スープを作る、というよくわからない展開。
ジップロックに入れて冷蔵庫で寝かす。野菜スープを肉に浸み込ませる、ってもう絶対美味しい。後日白ワインと水で低温調理。
同時進行でパンチェッタ。情熱があるときにまとめて作業するスタイル。
固まり肉にハーブミックスと塩をすりこむ。
キッチンペーパーとラップで巻いて冷蔵庫で寝かす。時々ペーパーを取り換えながら熟成を待つだけ。
『すぐに食べられない』という点に残念な気持ちはあるものの、『すぐに食べられない』ほど凝ったことをしている、という満足感もある。
『すぐに食べられない』からには当然美味いに決まっている!というおかしな気持ちも湧いてくる。
できあがったロースハム。
「もっとハムらしい丸い形の肉を選べばよかった…」
が正直な感想。
なぜか細長い上に四角い肉をチョイスしてしまったので見た目のハム感が少ない。細長い分、レシピ通りの加熱時間だと火が通りすぎてしまったかもしれない。
が、美味しい。
噛むたびに野菜だしの香りがふわっと口中にたちこめて『ハム』というより『美味い肉』を食べている感じ。
ただちょっと塩味がきついかも。
細長い肉だからレシピ通りの塩加減だと中心まで塩を浸み込みすぎたんじゃ…。細長い肉ダメ、絶対。
こちらはパンチェッタ。
脂身が多いほうが失敗しにくい、とあったのでほぼほぼ脂身みたいな仕上がり。
「肉なのに『サクサク』ってどういうことだ」
と思っていたけれど、焼いて油が出切った脂身は本当にサクサク。
このパンチェッタを適当に刻んで、パンチェッタ自身から染み出てくる油だけで野菜と一緒に炒めると本当に本当に美味しい。油の香りがとても良いし、野菜の歯ごたえの合間にサクッとしたパンチェッタの軽い食感が気持ち良い。
失敗を恐れず大量に仕込む派なので大量にできあがった保存食。小分けにして冷凍庫にしまった瞬間心はもう次の料理へ。次は『切り身魚の味噌漬け』か『自家製ツナ』を作りたい。次の休みは早速魚を求めてスーパーに走ろうと思う。